2023年に漁業権の更新を控える西湖漁協が、オオクチバス(ブラックバス)の漁業権を返上することを決めたというニュースが山梨日日新聞で流れてきました。


ブラックバス削減に転換 西湖漁協が方針



オオクチバス(ブラックバス)の漁業権を持っているのは、日本で最初にオオクチバス(ブラックバス)が入った芦ノ湖、トーナメントが盛んな河口湖、山中湖、そして今回漁業権の返上を決定した西湖の4つです。



漁業権を持っている湖は、入漁料の収入を得る代わり、対象魚種の増殖を行わなければいけません。
それが対象魚種の放流や餌の放流、漁場の管理などになる訳です。


山梨県の漁業権について


この漁業権は、10年に一度更新されるのですが、今回は2023年に更新となります。
その際にオオクチバス(ブラックバス)の漁業権を返上するということを、西湖漁協が決めたということです。
クニマスを保護するのが目的だそうです。

クニマスとは、田沢湖にいた魚を西湖に移植したものです。
田沢湖は日本で一番深い水深を持つ湖で、世界でも17番目だそうです。
以前はクニマスを始め魚がいましたが、1940年に用水整備を行い、強酸性の水が湖に流入したことで、魚が住めない湖となりました。
当時、西湖で試験的に放流されていた経緯があり、2010年にクニマスが発見されています。

西湖では、以前から黒いヒメマスということで認識されていたそうです。
つまり、1940年ころから西湖にはクニマスが居たと思われます。
魚種認定され、増殖を義務付けられたオオクチバス(ブラックバス)と、ほぼ手を加えることなく生存していたクニマスとが最長80年近く共存していたと推測できる状況でした。


これらのことを考えると、今更何でだろうという疑問が沸いてきますよね。
クニマスを保護するといいながら、魚種認定しているヒメマスはそのまま。
クニマスにとってオオクチバス(ブラックバス)も問題でしょうが、一番バッティングするのはヒメマスなんではないでしょうかね。
まあ、この辺りは大人の事情ってものでしょうか。


漁業権がなくなるオオクチバス(ブラックバス)の扱いはどうなるかというと、入漁料を支払う義務がなくなり、漁協は増殖の義務がなくなります。
釣りをすることは可能ですが、山梨県はオオクチバス(ブラックバス)の再放流を禁止していますので、西湖でも再放流が禁止されると思います。(現在は特例で再放流が認められています)
当然、外来生物法で認められませんので、移動もできません。


ここで、アイデアですが、釣り上げて再放流できないオオクチバス(ブラックバス)を、西湖漁協が河口湖漁協や山中湖漁協に移動するというゾーニングの形を取れないのでしょうかね?
群馬県邑楽町の中野沼でも、オオクチバス(ブラックバス)の駆除が行われています(邑楽町教育委員会主催)が、ここが普通の駆除と違うのが生かしたまま管理釣場に移動しているという点です。

殺さない駆除へ 2018

さすが、教育委員会が主催する駆除です。
命の大切さ、尊さを教えるという意味からも、無闇な殺生を避ける取り組みです。

同様のことが、西湖でも出来ると思うのですが。
これをやったら西湖漁協の株が上がります。

ペレットで養殖されたオオクチバス(ブラックバス)は、河口湖、山中湖でも放流されていますが、なかなか定着してくれません。
しかし、西湖で自然に繁殖したオオクチバス(ブラックバス)は、定着する確率が非常に高いと思います。
いいアイデアだと思うのですがね。


芦ノ湖は漁業権の返上をすることは考えていないようですが、河口湖や山中湖(特に山中湖)はどうなるか分かりません。
国としては、減らすように指示しているという話もあるようですので、将来的に漁業権の認定から外れる可能性は否定できません。
そうなって欲しくはありませんね。

釣人として、何が出来るかということを考え、実行動に起こさないとですね。



しかし、クニマスも国内外来生物のはずなのに、釈然としませんね。
クニマスは益魚ということなんでしょうかね。